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整備していくことが重要ではないでしょうか。或いはサービスを提供していくことがポイントとも思います。
マルチモーダルな都市交通システムについては、自動車だけではなく、他の交通手段の選択が可能となり、子供、運転免許をもっている人、高齢者・障害者にとっても代替的な手段があることにより、モビリティが確保でき、それを通して社会的参加ができます。交通はあくまでも社会参加の一つの手段ということであるから、そういう意味でモビリティを確保すると同時にそれを選択的に利用できるということが必要ではないかと思います。公共交通をどの様な形で考えていくのがよいかということでは、鉄道、タクシー、バス等の交通手段があり、それぞれ技術的特性、経済的特性を有している。バスの大きな特性は、基本的には乗合の少量や中量の旅客輸送システムだが、一番のポイントはその容量であり、収容力、輸送力、速度等を含め柔軟なサービスを提供できる。多様なニーズに併せ固定費があまり掛からないということもあるので、即時的にサービスの多様性に応じた形でフレキシブルなサービスが提供できるというのが一番大きな特徴ではないかと思います。現在バスは、資料中の都市交通手段の適用範囲概念図に示すとおり鉄道や地下鉄という大量輸送機関とマイカー等自動車の少量の輸送機関の中間的な領域で乗合のサービスをしているといえます。技術的な可能性という意味では、輸送容量や運行回数を増大させることは充分に可能であり、信号制御・通路の確保ということさえできれば、大変容量の大きいサービスを提供することも可能となります。これについては海外での事例もあり、ブラジルのケースでは1時間当り2万人というサービスを行っています。システムが整備されていれば、大量輸送という分野での可能性も大いにあると考えることができます。2番目にあげたのは短距離輸送システムであり、従来は動く歩道等で考えていたが、数?qまでの歩行支援として高齢化社会の中で大変重要な役割を有すると思いますが、こうした分野でもコミュニテイバス、ミニバス等の適用が考えられ、電気バス等の開発も進展していることから、短距離の分野でも様々な可能性が展開しつつあります。低密度輸送はタクシーとの境界にあるが、システムのよりタクシーに比べてコストを安く提供することが可能となります。
今後の新しい魅力あるバスサービスということでは、現在のバスについて一般市民、車の利用者等の中には、バスを昔の乗物だといった感覚で捉えている者も多いと思われますが、これはバスのサービスがモータリゼーションの中で十分に確立しているとはいえない状況からも窺われ、これからの新しい公共交通としてのバスというものを考えた場合に新しいサービスのイメージを積極的につくっていく必要があると、思われます。
その様な意味で、基本的には利用者にとり、いかに魅力あるサービスが提供できるかということとビジネスとして事業者にとっても魅力あるものにできないだろうかということがポイントとなります。現在赤字という財政の問題だけが議論されていますが、本当にそうなのか、もう少し別の形態で提供することにより、ビジネスとして成立する分野はあるのではないか考えながら1〜6を示しています。
当然一番重要なのはサービスということで、ハイクオリティ、サービスの高質化ということを提示していますが、定時性を確保することが一番重要なことかと思います。

 

 

 

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